ダムは、人々の安全な毎日の生活に必要な飲み水を貯めたり、洪水を防いだり、農作物を作る水を貯めたり、電気を作ったりなど、さまざまな役割を持っています。これらダムの役割を機能させるため、水位計でダムの水の量を正確に測っています。この水位観測に拓和の高精度な水位計が利用されています。
ダムは、大雨が降ったときなどに、川の水があふれたりしないように、川を流れる水の量を調整する治水の機能と田んぼや畑などに水を送りとどけたり、生活するための水を安定的に確保するための利水の機能、貯水した水を使って電気をつくる発電機能があります。
これらを有効に機能させるには、現在のダムの貯水量や貯水率を把握することが重要です。例えば、台風などで大雨が降ると予想される場合、川の水があふれないように水を貯める準備のため、ダムの貯水量を下げる放水を行いますが、その際どのくらいの放水・貯水量なのかを把握する必要があり、そのためには各々の水位を観測することが必要です。
ダムの貯水量を調整する際には、ダムからの放水量に加え、上流の河川からどれくらい水が流入しているのかを把握する必要があります。河川からの流入量は、ダムに流入する河川に水位計を設置し、水位観測を行います。水晶式水位計を用いることにより、0.05%FSの高精度で計測が可能です。
ダムの維持管理において、ダムの内部のコンクリートの継ぎ目やダムを設置している地盤からしみ出てくる水の量(漏水量)等を常に測り、ダムの状態が正常か判断しています。
代表的な漏水量を測る方法として、水路に堰を設け、その堰を流れる水の水位を測り、水位と堰との水理計算を使って流量(漏水量)を求めています。
しかし、漏水量は染み出ている水なので、水量が少なく高精度に計測する必要があります。
当社の水晶式水位計を用いることにより、最高0.01%FSの高精度の1㎜単位で計測可能です。
ダムの貯水された水は概ね河川よりも深くなっています。水深が深いと水位計の測定範囲も広くなり、その場合センサーの精度が測定誤差に大きく影響します。
例えば、測定範囲が70mの場合、精度が0.1%FSのセンサー(一般的な高精度の圧力式水位計)では、±7cmの誤差が生じます。
水晶式水位計は、最高0.01%FS(フル・スケール)の精度を持ち、測定範囲が70mの場合、±7mmの誤差と高精度に計測が可能です。
また、ダム等の水位観測において、雷の影響で故障する事例も多く、光水晶式水位計は、ケーブルに金属を使わない、光による動作電源への給電と水位データ伝送をおこなう、雷の影響に強い水位計です。
水深が深いダムでは、流入河川の影響で水温が観測点(水位計が設置されている水深)と表層と異なる場合が多く、水温が異なると水の密度(水圧)が変わり、測定誤差を生じます。
水温補正付水晶式水位計は、各水深の温度をリアルタイムで測定し水温補正をおこなうことにより、高精度な水位計測を可能としています。
レーザー走査式水位計は、洪水吐や堤体などの直接水晶式水位計が設置・計測しにくい場所において、非接触のレーザーを用い水面を計測するため、容易に設置・計測が可能です。
従来の非接触計測の電波式水位計等では水位面まで距離がある長距離の計測は困難ですが、本センサーは、長距離計測が可能なレーザーを用いかつ、面的にレーザーを照射し計測する事により、長距離(~30m)・安定計測を可能としています。
従来のレーザ光を1点のみ照射し計測した場合、その照射された、局所的な水面の1点が波などで荒れていたりすると、計測値が不安定になり、かつ精度に大きな誤差が生じます。
走査式(面的計測)は、レーザー光を面的に走査(スキャン)計測し、面的な多点データを処理し、計測値とすることで、局所的な影響を排除でき、安定で精度が高い計測が可能となります。
ダム用量水標
漏水計測
水晶式水位計設置状況
ダム貯水量把握のための水位計や放流量把握のための水位計、さらに流入量把握の水位計など各水位計の水位情報やゲート開度計の開度情報などをダムコントロールシステムに一括入力・管理し、その情報をもとにゲート操作や警報装置の運用を行うシステムです。
また、ダム水位観測は、確実性・安定的を確保するため計測の二重化が図られており、水晶式水位計等だけでなくレーザー走査式水位計など複数のセンサーで計測されています。
当社は水位を計測する水晶式水位計等だけでなく、ダムの放流制御に利用するゲート開度計も取り扱っております。
説明図は、国土交通省や自治体、電力会社様で運用するダム等で情報開示しているホームページの模式画面です。
現在の貯水位や貯水量の表示や流入河川の流入量、放流量、漏水位のデータが一括して見やすい画面となっています。
これらの表示されているデータは、水位計の観測によるものであり、当社の水晶式水位計等を利用して頂いております。